【備忘録】ロロ「父母姉僕弟君」@王子小劇場

備忘録。
注目の若手、三浦直之氏による劇団ロロの「父母姉僕弟君」。twitter上でも話題になってたので気になって、追加公演を観にいく。確かにこれはすごい。「才能を感じる」ってこういうことでしょうか。とはいえ、ドタバタの時期だったので感想は当時のtwitterより。

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ロロ「父母姉僕弟君」観てきた。なんだこれすごい。全然感想が書けない。開始後30分は「うーん、これは失敗したかも...」と思ってた。が、支離滅裂なのになぜか集中力途切れず観られて、最後はボロボロ泣かされてました。なんなんだこれは。

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ロロ「父母姉僕弟君」、2時間は冗長で、もう少し短くできると思うけど、前半の散乱、分裂的なシュールさがなければ、後半のカタルシスに結びつかないのかも。前半の圧倒的な意味不明さと、後半のわかりやすさ、センチメンタルな演出、エンディングのスマートさのギャップは、狙っているのなら圧巻。




以上が引用。

1個目のtweetがほぼすべての感想なんです。
とにかく前半はナンセンスとパロディと隠喩が満載で、面白いのか面白くないのかわからないままに時間が過ぎていくんですが、それでも席を立てないのは、ネット上の評判がよかったのもあるけど、小道具の演出や隠喩がユニークだから。あえての「安っぽさ」と「サブカルっぽさ」が印象的。今回は、事務机や椅子を役者が動かしながらのセットが絶妙でした。

以下、ネタバレしますが、やはり圧巻は終盤のベニヤ板を舞台前方いっぱいにはりめぐらす演出でしょう。
主人公の独白、板を壊す動きには、物語の中盤までのナンセンス・ギャグに覆い隠されてきた、大事な人を失った主人公の激しい悲しみと怒りが爆発的に表現される。その後、ベニヤ板の壊れ目から差し込む強い光で観客も一瞬視界を失ってから立ち現れる「思い出の場所」の静けさと死んだ恋人との「別れのあいさつ」の美しさはきわめて効果的でした。

エンディングの演出は、終盤のセンチメンタルとは再び距離をとって、気ままに車を運転する男の表情へ戻ります。運転する(演技を続ける)男の横で、出演者たちがカーテンコールのため次々と客席にお辞儀していく、というのも痺れましたね。幕が下りて(または役者全員が同時に芝居をやめて)舞台の世界が現実と線引きされたままに終わるのではなくて、舞台の世界が少しずつ現実の世界に溶け出すような感じがして。


という感じで、初の劇団ロロは驚きに満ちたものでした。もっと分析的に書けたらなぁ!と思いますが、こんなところで。