いまさらだけど「パラノーマル・アクティビティ」

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

北米の友人が「めちゃくちゃ怖いから!」と推していた作品、ようやく録画にて観る。

「素人がハンディカメラで撮影しました」というドキュメンタリータッチのホラー映画としては「ブレアウィッチ・プロジェクト」が記憶に新しいけど、正直、その時ほどのインパクトはなかったなぁ。

私がイマイチ入り込めなかった理由は色々あるんだけど(自宅のTVがめちゃくちゃ小さいとかw)、一番強く思ったのは、慣れ親しんだ家の構造が違うだけで、こんなにも感情移入できないものなのかということ。この物語、同棲カップルが家の中で起きる超常現象をハンディカメラで撮影して色々怖い目に遭うという設定なんだけど、広さや構造が日本ではあまりないような米国式の家で起きる超常現象に、どうしてもリアリティを持てなかった。

この手のドキュメンタリータッチのハンディカメラ・ホラーは、どれだけ観客が「自分のこととして」不審な物音やカメラに映っていない所に想像を及ばせることができるか(観客の想像こそが恐怖の源泉なので)にかかっている。低予算で不十分な映像だからこそ、観客に多くを想像してもらって恐怖を喚起しなきゃならない。その点で、観客はその世界に自分がいるかのような気分になりやすい設定のほうが有利。経験したことのある場所や設定に似ていれば似ているほど、そこで起きたかもしれない怖いことを容易に想像できるから。

多分これが日本的なマンションとか日本家屋だったら、ものすごく怖かったんだと思います。「一度は想像したことのある怖いこと」の記憶を持ち出せば、恐怖を再体験できるから。ただ、海外の家って、私にとってはやっぱり「ヨソの世界」なんだよね。

そう考えると、ブレアウィッチ・プロジェクトは設定がうまくて、「森の中」って国や地域の文化が反映されにくい場所なんですよね(多少の植生の違いはあるけれど、普段の生活からは切り離された「アウェイ」である、というのは共有できる)。だから、自分にも起きる(起きた)かもしれないこととして、すんなり感情移入しやすかったんだろうなと。

他には、同棲カップルの話なんで、二人の関係とかやりとりに気が散ってしまったというのもあり・・・なんか、こういう、のぞき見的な設定って苦手かも。ブレアウィッチは登場人物が記録のためにカメラに向かって喋ったりするから、のぞき見的感覚が薄いんだよね。

海外では大ヒット、日本ではイマイチな印象の本作ですが、上に書いたような、一見瑣末だがこの手の映画には重要な要素が海外での上映成績に影響してるんじゃないかな、と思ったりしたのでした。

映画については語れるほど観ていないので、備忘録的に。