遊園地再生事業団「ニュータウン入口」

2007-10-01

宮沢章夫作・演出の「ニュータウン入口」を観に行った。

演劇を初めて観るという友人を連れていったのだけど、連れて行って悪かったなと思った。というのも、全然面白くなかったから。友人に「また誘ってもいい?」と聞いたら、「うーん・・・」と言っていた。残念だ。宮沢章夫の文章は面白いと思っていたので、芝居がこれほどつまらないなんてびっくりした。難しくて初心者向きではない、というのはあるんだけど(そしてこれは私の勉強不足と選択ミスだけど)、今回の芝居のつまらなさの大半は、その完成度の低さによると思う。

舞台上にカメラを持ち込んで演じている役者を撮影してライブ映像で流したり、演じ手でも観客でもない第三の目としてカメラマンに喋らせたり、演出方法として興味深いところもあったけど、何かまだ実験段階っていうか、道具によりかかってる感じで、「これ、物語の中でどうしても必要なのか?」と思った。妙な動きのダンスもちぐはぐなままに終わっていたし、笑いも中途半端。いろんな芸風の役者さんたちの個性がまとまりきれてない印象で、観ていて辛い。

ニュータウン入口」でブログ検索をかけると、結構いろんな人がこの芝居の感想を書いていて、絶賛している人もいるようなので、これはもう多分好みの問題なんだと思う。ただ、前衛なら前衛なりに、古典なら古典なりに、好みはともかく作品の完成度というのがあるはずで、全体的にも細部にも中途半端さを感じるこの作品は、やはり完成度が低いということだと思う。最後、「芝居はもう終わりだ!」と何度も叫ぶシーンがあるんだけど(この台詞自体もクサイ。そしてクサさが中途半端)、「頼むから早く終わってくれ」と思ってしまった。まぁ、「実験的な過程につきあう」ことを楽しめる人は、こういう作品にお金を払ってもいいと思うんでしょうね。とっても長い2時間20分でした。

役者でうまいなと思ったのは、杉浦千鶴子さんと南波典子さんと山懸太一さん。チェルフィッチュの役者さんは名前を覚えていなかったんだけど、山懸さんの演技を見ただけでチェルフィッチュだと分かって笑えた。軽薄で明るいんだけど目が笑ってない感じの演技は好み。

★☆☆☆☆(5点中1点)



comments

Unknown (GAMI)
2007-10-01 20:16:25
はじめまして。
ニュータウン入口」の評価ですけど…。
私もヒトの絶賛系blogに騙された(笑)一人です。
絶賛しているblogを注意深く読むと、
そもそもが宮沢氏のシンパな方々ですね。
場合によっては教え子だったりします。
そりゃぁ絶賛するでしょぉな感じで理解しました(^^;)。
私的には「何か違う」な劇でした。

Unknown (miconeko)
2007-10-02 17:43:23
GAMIさん
コメント、ありがとうございます!
同じような感想を持っている人がいて、何となく安心しました(笑)。他のブログを読んでると、何となく批判しづらいなぁと思っていたので。批評家の評価も高いようですし・・・。
まぁ、ああいう雰囲気が好きかどうか、ってところが大きいのでしょうが、ちょっと内輪向けというか、自己満足的というか。ちょっと理解不能な感が強いですが、もう1作くらい見て判断したいところです・・・。

Unknown (GAMI)
2007-10-02 20:31:10
度々すみません。
冷静に観ている人ほど評価が低いっぽいです(笑)。
いろんな評価その他を総合して考えると、
良い判断をしたいと思っていらっしゃるのなら、
より古い作品をご覧になったほうがいいかも
しれませんです(^^;)。

Unknown (miconeko)
2007-10-02 23:34:38
いえいえ、ありがとうございます★
私もあのあと何個かブログを読んでみて、意外と評価の低い人もいるな、と思いました。
宮沢氏の作品は複数ご覧になってるんですか?
やはり岸田戯曲賞をとるちょっと前くらいが一番いいんですかねぇ