猫のホテル「苦労人」

2007-04-27

つい先日、猫のホテル「苦労人」を観てきました。
場所は三軒茶屋のシアタートラム。

ストーリーは、「山城」という一族が、
戦国時代から現代までのそれぞれの時代を生きる中で、
それぞれの子孫がそれぞれに苦労している、という話。

一つ一つのエピソードは時代背景とマッチしながら、
まるでオムニバスのように進んでいくわけですが、
残念ながら、それぞれが大して質の高くないエチュードに終わっていて、
全体としては非常に退屈な舞台になってしまっていました。

一つの舞台装置の上で(装置転換いっさいなし)、
役者のファッションや言葉遣い、小道具や照明・スモークなどを巧みに使って
時代の違いを見せていく試みはそれなりに面白いと思ったし、
役者は皆、芸達者でそれなりに巧いなぁ、すごいなぁと思うのだけど、
ちょっと各自の芸に頼りすぎで、お芝居としては微妙でした。

とても申し訳ないのだけど、前半の単調なドタバタが眠くて眠くて大変でした。
後ろのお客さん(女性二人組み?)は結構コアなファンらしく、
役者が何をやっても大げさに黄色い声で笑うので、うるさいなぁと思ってました。
猫のホテルは確かに女性ファンがつきそうな役者の多い劇団なので、
こういう事態は仕方がないと思うんだけど、アイドルのおっかけじゃあるまいし、
分別なく何でも笑うのってどうなのか。

まぁ今回のお芝居も、意地悪な目で見るとファンサービス公演と見えなくもない。
しょっぱなからふんどし姿の男衆が舞台上に上がって、
実に様々なタイプの男性(役者)の裸体を見ることができたり、
他にも着物やらスーツやら、もうコスプレかってぐらいに衣装が変わるので、
(衣装がえの速さには驚いたけど)ファンには垂涎ものの作品なのかもしれません。

一人ひとりの役者さんを見ると、本当に芸達者なので、
もう少し良い脚本と演出がつくと、さらに才能が生きるのではないかと思います。
あと、芸の方向性が役者全体で似ていて、一人ひとりがぼやけてしまっているので、
どちらかというと他の劇団主催のお芝居に出張出演して、
もう少し違ったタイプの演技をする役者さんと絡むと、もっと映えてくるのでは。
って、すんごく偉そうなこと書いてて申し訳ない。

以前観た野田マップの公演のときに巧いなぁと思っていた中村まこと氏は、
今回もやはり存在感があるなぁと思いました。
ちょっと生瀬勝久とキャラがかぶってるけど。
しかし私も、好きな役者が舞台に出てきただけでキャーキャー言うような
ウザファンにならないよう、気をつけねば。

そんなわけで星1つ。
★☆☆☆☆