第三舞台『デジャ・ヴ ’86』

2007-01-06

1983年初演(大隈講堂裏特設テント)
1986年再演(紀伊国屋ホール、近鉄小劇場

第三舞台が初めてマスコミに取り上げられた作品、らしいです。
物語は劇中劇を多用した、かなり複雑な入れ子構造になっており、
とても分かりにくい話になっています。
舞台上もごちゃごちゃした印象で、演劇にあまりなじみのない人には
はっきりいってオススメできません。
「もしかすると、ラストでものすごく面白くなるかも」という期待を持ち続ける
演劇ギャンブル的な心性がないと、多分途中で集中力が切れます。

でも、ごちゃごちゃしているのは確かなんですが、
そこには作者鴻上氏の確かなメッセージが感じられて、私は嫌いではありません。
まぁ非科学的なコトバでいうと、何となく魂の感じられる作品だと思います。
荒削りだけど情熱を感じるというか。
変に器用だけど魂の感じられない作品よりは、全然嫌じゃないなぁと思いました。

私の個人的な思いとしては、第三舞台の芝居って、
かなり勢いに特化したところがあって、
その疾走感と暑苦しさが魅力的に感じるのですが、
そこで難しいのは女優の活かし方という問題です。

私個人としては、鴻上氏の書く戯曲って、
男性のみで上演したほうがしっくりくるんじゃないかと。
別に女性蔑視する気もないし、鴻上氏の何かを批判する気もないのですが、
今まで映像化されたものを観る限り、
女優を活かせてないような気がします。
もちろん、個々の女優さんの可愛さや美しさや巧さというのは素晴らしいんですが、
こと鴻上氏の作品の中では、女性性が浮いてるような。

評価 ★★★☆☆