ナイロン100℃「シャープさんフラットさん」黒+白

2008-09-26

本多劇場で観劇してきました.

笑いを作り出す作家が日常生活の中で感じる生きづらさ,
周囲とのどうしようもない違和感や孤独感が痛々しく描かれていました.
笑いの場面はさすがの完成度で楽しかった.泣ける場面もしかり.
笑いと哀しみのバランス感覚が天才的にいい.
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの舞台はこういう所が本当に好きだなとつくづく思いました.

それと映像の使い方のセンスがすごく良くて,今回も痺れた.
あと,小池栄子が予想より上手で見なおした.
キャラが合ってたのもあると思うけど,主人公とのやり取りの痛々しさがよく出ていて良かった.

でも,内輪ウケとか無条件に笑う観客が鬱陶しかった.
単に笑わせるんじゃなくて,底に痛々しさがある場面でも,
「冗談言ってるから笑う場面だよね」みたいなノリで笑ってる観客の人が意外に多い.
こんなに痛いのに何で笑えるの?ここは単に笑うとこじゃないのでは?っていう.
まぁ人がどこで笑おうと勝手ですが.
あと,犬山イヌコさんは確かにすごい名優だと思うけど,
あの独特の老人喋りみたいなのが出てきただけでウケるのって引くなーと.
まぁ昔から観てる人にしてみたら,色んな過去の記憶の余韻で笑ってる面もあるんでしょうけど.
あの芸だけでそんなに笑えるか?
志村けんの「アイーン」みたいなもんなのかな.よく分からない.

これはたぶん好みの問題なんだけど,
この演出家の長い作品は,ラストにつながっていく後半部分がモタつく印象.
ラストはそうでもないんだけど,そこへのつながりがモタモタしてるというか若干くどいような気がします.
でも展開上しかたないのかもなぁという気もしたり.

でも,お金を出して観るのに全く後悔を感じない作品.
舞台の各所で演技が進行してる場面も多いので,DVD等で観ると魅力半減かも.
チケットがとれたら是非.オススメです.

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追記.
ホワイトチーム,観てきました.
個人的にはブラックチームの方が好きでしたね.
今回の物語のミソは,「主人公が抱えている狂気と,周囲との痛々しい関係」だと私は思うので,
強めのキャラでメリハリのついた黒の配役の方が合ってたと思う.
白の配役は黒に比べると「穏やか」な印象の人が多くて,そういう鋭い痛々しさが薄まってた感.

もちろん好みの問題もあるとは思うけど,
白の役者の良さが,黒とは違った演出でもう少し引き出せないものかなぁと.
白は白で,しみじみ味のある作品にできる気がする.
ま,単なる観客なので好き勝手いえるんでしょうね.
大倉孝二小池栄子」が今回の物語にハマりすぎてたというのが正しいのかも.
脇役もバランスが良くて,全体的に華があった.
白も主人公と周囲は良かったんだけどなぁ.佐藤江梨子が・・・うーん.



comments

#♭観てきました (たま)
2008-09-28 10:56:35
わたしも26日のBチーム観てきました。
作品の完成度としては十分だと思うのですが、後半確かにだれましたね。同じように、笑うところではないところで笑う観客にかなり苛々しました。
非常に共感したのでコメントしました。

Unknown (miconeko)
2008-09-29 10:41:54
たまさん

コメントありがとうございます!
共感してくださる方がいて嬉しいです.
やはりそうですよね・・・
笑いに来てる客も多いんだとは思いますが,変に役者に媚びてる客というか・・・
私は比較的新しいファンなので,内輪ウケっぽいのが特に微妙でした.

でもおっしゃる通り,完成度は十分で,とても満足してます.
キャスティングも良かったですよね.
後半のダレ感も何とかなったのは,あの配役も大きかったのではないかと.

白チームはご覧になりましたか?
実は昨日28日に白を観たのですが,
全体的にもう少し「穏やかな」印象でした.
悪く言えばメリハリに欠けるというか.
個人的には,黒の方が,痛々しさとか狂気がよく表現されてた気がします.